株式会社Cygames

株式会社Cygames

エンジニアリーダー / クライアントサイド
大道 賢人(左側)

大手ソーシャルゲーム会社を経て、2014年に株式会社Cygamesへ合流。
Shadowverseには、開発当初より参画し、エンジニアチームのリーダーを務める。
現在は、リーダー業務を行いながらネットワーク寄りの新機能の実装も担当。
シェーダーからCI、サーバーサイドまで幅広く業務を行う。

株式会社Cygames

サブマネージャー / 3DCGアーティスト
島村 亜空(右側)

コンシューマーゲーム開発会社を経て、2012年より株式会社Cygamesに合流。
ネイティブアプリの3DCGエフェクト、シェーダー、スクリプト、ツール制作などに従事。
Shadowverseでは主にプレミアムカードの制作、監修、ワークフロー周りを担当。

Unite 2017 Tokyoで語られる
シャドウバースの開発事例

今回のUnite 2017 Tokyoのセッションでは「『Shadowverse開発事例』 ~美麗カードが動く!制作テクニックのすべて~」という講演名となっています。どういった講演内容になるのか教えてください。

大道 今回は、僕と島村の2名でお話させていただきます。僕が開発フローとエンジニアリングの話をして、島村がシェーダーですとか、見た目の部分。
主にShadowverse(以下、シャドウバース)で実際に使っているシェーダーに関する表現に関しての講演を行います。

島村さんのお話はデザイナー向けで、大道さんのお話はエンジニアさん向け、になるのでしょうか。

大道 前半部分に関しては非エンジニア的な部分もありますね。

島村 ゲームを作っている方全般に向けてという感じです。

大道 島村の話も、ディレクターさん、アートディレクターさんに向けて、「シェーダーでどういう表現ができるのか」を知っていただく機会にもなるかなと思っているので、そういう意味でも非エンジニア、非デザイナーの方でも楽しめる内容かなと思っています。

3ヶ月で200枚の動くカードを量産するために

今回のセッションで島村さんがお話される内容についてお聞かせください。

島村 シャドウバースには、通常のカードの他に、『プレミアムカード』と呼ばれるイラストがアニメーションで動くカードがあります。
この動くカードに関するシェーダーは、特殊な使用方法をしているので、一般的にはあまり使われない、シェーダーの活用方法を紹介したいと考えています。

そのシェーダーの使い方というのは、もともと御社の他のタイトルで使われていたものをブラッシュアップしたものなのか、それともシャドウバース用に開発されたものなのでしょうか?

島村 シャドウバース専用に開発しました。シェーダーに取り組んだのは開発中盤です。私がシャドウバースのプロジェクトに入った当初は3Dのグラフィック関係も見ていたんですが、開発中盤に動くカードに注力して開発しました。
現在、動くカードはゲーム内に1000枚以上ありますので、それを量産するために、どのような取り組みをしてきたか、というお話もセッションで紹介したいと思っています。

カードの量産は、1ヶ月にどのくらいのペースで行われていますか?

島村 3ヶ月に100枚程度増えていて、ゲーム内で進化するカードもあるため、進化後の動くカードも含めると、3カ月で200枚程度の制作となります。

量産体制を整えるにあたって、どのようなアプローチをされていたのでしょうか。

島村 動くカードを作ろうとしたときに、通常はShurikenを混ぜて作るとか、ポリゴンを分けて作るとか、いろいろな手法が考えられると思いますが、できるだけ低コストで、しかも綺麗に見える手法はないかと考えて、専用のシェーダーを作ろうという考えになりました。
最初のモックアップで見せるまでに、1週間くらいで作って、そこから随時更新していきました。運営が始まってからシステムを変えるのはよくないので、運営が始まる前にきっちりと固めてしまってという形を取りました。

大道 リリースするギリギリまで結構いじっていましたよね。

島村 そうですね。ただ、丸々シェーダーの制作に時間をかけていたわけではなく、他にも動くカードの実制作をしていたので、6カ月くらいの中で少しずつ手を入れていって、完成させたという形ですね。このあたりの制作過程と実際の運用面のお話をセッションでしたいと思っています。

増え続けるカードを
どのようにゲームに実装していくか

大道さんはどのようなお話を予定されていますか?

大道 主にクライアントの実装についてですね。3カ月で100枚から200枚のカードをリリースするために、どう運用体制を整えていったか。どんな役割分担で何をやっているかという開発のフローの説明もします。そのあとに、3カ月で100枚以上のカード追加を、どのように効率的に実装しているか。そして、カードが多いことでエフェクトの数も多いので、大量のエフェクトを作成する際にどれだけ効率的に作っているか。数が多くなってもメモリの消費を抑えるにはどうしたらいいか。など、どちらかというと、アセットバンドルの使い方に近いお話をさせていただく予定です。
僕が開発フローや、チーム作りについて、技術的な部分でリソースの管理をどのように実施しているかを紹介し、島村がカードの量産について話す。というイメージですね。

Unite Tokyo 2017来場者に向けてのメッセージ

それでは、Unite Tokyo 2017に来場される方へのメッセージをお願いします。

島村 今回開発した専用のカードシェーダーは、グラフィックからの目線で生まれた技術です。私と同じようにグラフィックを担当する方でシェーダーに興味がある方、もしくはグラフィックをより良くしたいと考えているエンジニアの方が、グラフィックの向上にシェーダーがどのように寄与するのか、イメージをつかんでいただけたらと思います。

大道 昨年の6月にシャドウバースがリリースされまして、ありがたいことにかなり多くの方に遊んでいただけるコンテンツになりました。実際にシャドウバースというコンテンツがどのように運用されているか、どのような工夫をしているかを通して、シャドウバースをご存知の方も、そうでない方もシャドウバースを知っていただき、より興味を持ってもらえる機会になればうれしいです。