DVERSE Inc.

DVERSE Inc.

CTO 高田 知典

日立ソフトウェアエンジニアリング株式会社(現:株式会社日立ソリューションズ)にてプロジェクトマネージャやITアーキテクト等を経験後、新規事業開発に取り組むベンチャー数社を渡り歩く。2014年、DVERSE Inc.に創業メンバーとして参加。クライアント企業向け360度VR動画アプリやイベント向けVRコンテンツ開発等と並行して、AEC業界に向けた自社VR製品「SYMMETRY」のR&Dを推進。Unity歴は3年。

DVERSEとVRプロダクト「SYMMETRY」のはじまり

DVERSEがUnityをどのように使われているのか教えてください。

高田 2014年10月の創業当時からVRコンテンツを専門に開発する会社としてDVERSEはUnityを使っています。今年の2月14日には、建築業界向けに「SYMMETRY alpha」という、CADソフト「SketchUp」のデータを取り込んでVR空間で表示・体験できるソフトウェアをリリースしました。こちらもUnityで開発を行いました。

DVERSEさんには10名程度のスタッフが在籍しているとお伺いしています。その中でエンジニアは何人くらい?

高田 現在、プログラマは4人です。創業当時は企画・営業がCEOの沼倉、プログラマが私、クリエイターがもう1名の3人体制で、その期間が長かったですね。
それからいろいろなコンテンツを作りはじめまして、最初はVRといってもどの分野がいいのかわからなかったので、教育向けのものや、企業さん向けにVRの動画アプリやイベント用コンテンツを作っていました。
いろいろ作ってきた中で、今後どうやって会社としてやっていくかを考えたときに、企業さんからのいわゆる受託系の開発ではなく、自分たちのプロダクトを作って大きくスケールさせていこう、というのがいまのSYMMETRYのはじまりです。

SYMMETRYの開発にはUnityを使われているということですが、VRコンテンツの開発に携わる以前はどのようなことに使われていましたか?

高田 そもそもDVERSEはVRコンテンツの開発会社として立ち上げたんですが、実はその前のストーリーがあって。Oculus DK2が出たタイミングで私と沼倉がそれぞれ所属していた前の会社で新規事業の立ち上げを任されたんですね。「ちょっとVRをやってみようか」ということで開発を行って、展示会に出したりもして。でも、今後社内でVRの事業をずっと続けていくかというと、そうでもない。
「であれば外に出てやってみよう」となったんです。私はもともとサーバーサイドのエンジニアで、前の会社で新規事業の立ち上げからUnityを触り始めたので、キャリアは3年くらいですね

それでは、高田さんはもともと建築系の仕事に携わっていたわけではない。

高田 SketchUpを日本で取り扱っているアルファコックスさんと、たまたま私の妻が仕事の取引をしていて、何かの会話で「夫がVRコンテンツの開発をやっています、Unityをやっています」というところからお話の機会を頂いてそこから、建築関係のVRは可能性があるんじゃないか、と。

SYMMETRY alphaと建築業界での反応

実際に、SYMMETRY alphaをリリースして、業界や関係者からのフィードバックはどうでしたか?

高田 グローバル展開を目的に公式サイトも英語にしていて、リリース後1~2週間ほどで70~80か国からダウンロードされています。アメリカ、中国からのダウンロードが多いですね。ヨーロッパ圏ではドイツ。初速の動きとしてはかなりよいと感じています。
熱心なユーザーさんからすごく長いフィードバックのメッセージを頂いたりして、とても心強い感じがしています。

SYMMETRY alphaをゲームプラットフォームのSteamからリリースした理由は?

高田 このアプリはHTC Vive専用なので、Steamのユーザー登録を皆さんやっているはずなんですね。つまり、Steamからダウンロードするのはユーザーにとって不便ではない、というのがひとつ。それと、開発側の利点としては、Steamにソフトウェアを自動的に最新版へバージョンアップする機能が入っていること。
ちなみに、Steamのフレームワークで開発してあるので、Oculus RiftとOculus Touchでも動くんですが、HTCさんとは、HTC Viveの最初の開発キットの頃から密にやらせていただいているため、HTC Vive専用にしています。まずはVRの体験として質のいいものを、というところですね。もちろん、ここから先に次の世代のVRも出てくると思うので、その時々で適したものを使っていけたらと思っています。

いままで、設計事務所さんとコラボレーションは何かやられていますか?

高田 実はいろいろと動いているので、公式サイトで随時事例として紹介できればと思います。設計事務所さんの中にVRを常駐展示して、彼らの作ったモデルを、彼らのお客さんに見せる、というのがニーズとしては多いですね。
SYMMETRY alphaの一番の特徴は、PCの中にファイルがあって、ソフトウェアでそのファイルを選択するとすぐにVR空間で見られることです。他のツールだと、あらかじめ変換をして、それから取り込む、みたいにワンステップ多かったんですけど、SYMMETRY alphaはそのまま見られるので手軽ですね。

極論、隣にCADのエンジニアさんがいて、お客さんの意見をもとにモデルを変更して、じゃ見てみましょう、みたいなスピーディーな展開が可能ということですね。 建築業界の方は、こういったテクノロジーをどういった風に捉えられているのでしょう。

高田 建築・土木のIT化を国として推進している中で、今までの建設をやっている方からすると確かに敷居は高いんですけど、問題意識をもって推進していきましょうとか、ドローンを使いましょうとか、いろんな活動をしている方もいらっしゃって。SYMMETRY alphaを使って、ディスプレイ上で設計していたものをVR空間で見てみると、まさにその場にいるようになる。設計をしている方が見るとよりインパクトが大きいので、体験した方からはかなり引きがある感じですね。

Uniteへの出展について

今回、初出展となるUnite 2017 Tokyoでは、どのようなことを来場者に伝えたいですか?

高田 ひとつには、当然、建築業界に向けたアピールもあるのですが、もう一方でテクノロジーとして注目されているVR自体のアピールもしたいと考えています。
Uniteに来られるお客さんは、ゲーム業界の方が多いと思っているんですね。そういった意味では、まずはVRのビジネス向けプロダクトがあるというところを知ってもらいたいです。製品を展示しますので、ぜひ触っていただければと。去年はVR元年なんて言われていましたけど、これからさらにVRを普及していかなくてはいけない、それ自体もわれわれのミッションだと思っているので、ゲームに限らず広い視野でVRの活用方法を考えてほしいというメッセージを個人的には考えています。その中で、今後DVERSEが建築からどんどん幅を広げていくときにパートナーになっていただける企業さん、エンジニアさんと出会えたらと思っています。

具体的にパートナーとなってほしい、企業さん、エンジニアさんとしてはどういった方をイメージされていますか?

高田 まだ製品の具体的な構想があるわけではないんですけど、チームの中で話し合って、いくつかアイデアが出てきているんですよね。例えば、ゲームのようなエンターテイメント関係。SYMMETRYは、3Dのモデルを簡単にインポートして、すぐ目の前でプラモデルのように見られるので、そこを発展させて動きをつけたり、ジオラマみたいなセットを作って、その中で何かをしたりっていうのを……ここはあまり言っちゃうとあれなんですけど、エンターテイメント関係やキャラクターを扱っていらっしゃる企業さんとタッグを組めれば、一般向けの面白いVRのコンテンツが作れるんじゃないかと思います。あるいは、教育分野でもVRは学習効果が高いと思うので、そういう業界の方ともコミュニケーションできたらと。
それから、エンジニアを今後も採用していきたいなという想いがあって、そういった意味では、Uniteに来ている方にDVERSEを知ってもらいたい。その中で、ゲーム以外の分野でUnityの力を発揮したいと思っている方に出会えたらという気持ちもありますね。

最後に、Uniteの来場者へ向けてのメッセージをお願いします。

高田 高田:まずはSYMMETRY alphaを知ってもらって、Unityでゲームを作ってきた方からフィードバックを頂けると嬉しいです。こらから、どうやって広めていくのか、実際の仕事の現場にどう取り入れていただくかというのも重要な課題だと思っているので、ビジネスサイドの方にもぜひ体験していただきたいです。