日本マイクロソフト株式会社

日本マイクロソフト株式会社

デベロッパーエバンジェリズム統括本部
テクニカル エバンジェリズム本部
プリンシパル テクニカル エバンジェリスト 高橋 忍(左側)

日本マイクロソフト株式会社 テクニカル エバンジェリスト。主にWindowsを中心としたクライアントサイドの開発技術を中心に、最先端技術の訴求活動を行う。現在は Windows 10 を中心にアプリケーション開発技術やクロスプラットフォーム開発、そしてWindows Holographic の開発についての担当として、各種セミナーや個別案件等で活動中。

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デベロッパーエバンジェリズム統括本部
マーケティング部
Exec. Audience Marketing Manager 金尾 卓文(右側)

開発者を対象としたマーケティング部に所属。主にHoloLens の技術訴求とコミュニティとのリレーションを通した啓蒙活動を行う。Unite Tokyo には 3年前から関わり、Visual Studio を使った Unity アプリ開発についても訴求活動を行っている。

HoloLensのリリースと日本での手応え

2017年1月に、ついにHoloLensが日本でも入手できるようになりました。Unityともグローバルではさまざまな形で連携しています。

金尾 そもそも Unity さんとは数年前からVisual StudioをUnityの開発環境で、という観点でご一緒させていただいてきました。これは日本だけでなく、マイクロソフト本社でも技術的なコラボレーションをしていただいていまして、Windows 環境にUnityをインストールされる際には Visual Studio が基本エディターとして一緒にダウンロードしていただく仕組みにまでなっています。今回はようやくHoloLensでもご一緒できるようになったという感じですね。

高橋 Windows 8とWindows 10のストアに上げられるアプリケーションがUnityを使ってできるというところで、UnityとMicrosoftのアプリケーションの関係というのはそのころからずっと続いていますが、今回のHoloLensはついに、Unityを中心としてアプリケーション開発ができる、というところでいろいろなアプローチを始めているところです。
それまでは北米でのみ発売していたHoloLensですが、10月にヨーロッパとオーストラリアを含めた6か国での予約が始まって、日本では12月の頭に予約開始だったんです。この日本での予約開始初日のオーダー数が、ヨーロッパとオーストラリア、6か国の全部足した合計の3倍あったんです。そういう状況なので、日本で非常に多くの方にご支持いただいているな、と実感しています。

リリースからしばらく時間がたちましたが、開発者の皆さんの動きはいかがでしょうか。

高橋 我々はグローバルでHoloLensの情報をウォッチしていますが、その中でも、日本はものすごく活動が活発なんです。特にコミュニティや一般ユーザーからの情報発信をはじめ、その他開発に関する情報や、デバイスやアプリに関するレポートなど多岐にわたって情報が出ています。
日本のアプリケーションを作った方がツイートしたものをHoloLensの開発チームのトップであるアレックス・キップマンがリツイートして話題になったこともありました。
2月にはコミュニティの企画でHoloLensユーザー向けにハンズオンを東京で実施したのですが、発売開始から2週間しかたっていないにもかかわらず80人を超えるHoloLensユーザーが集まりました。その時の集合写真も話題になりました。
活動だけでなくアプリについても日本からのよいアプリがいくつも出てきていて、ランキング上位に入っているものもあります。

HoloLensの開発ツールとして使用されているものとしては、どのような状況なのでしょうか。

高橋 いまHoloLensのアプリはDirectXとUnityで開発することが出来ます。そのうちどのくらいの割合で開発されているかは我々も細かく把握できているわけではありませんが、いろいろお話を聞いていたりしている中では、ほぼ9割以上はUnityで開発されているようです。
というのも、我々からもUnityを使った開発情報を多く出していて、例えばHoloLensの開発者用のポータルサイト「デベロッパーセンター」は、Holographic Academy ※というセルフハンズ形式の学習用コンテンツが用意されていますが、それは全部Unityを使ったものなのです。

やはり、圧倒的に開発しやすく、必要な専門知識の量がDirectXとUnityでは大きく違うので、Unityを利用されている方が多いのだと思います。
それに、もちろん非常に多くの方がHoloLens以前からUnityを使っていらっしゃるので、ここはUnite 2017 Tokyoに我々が参加する目的の一つですが、そういったUnityユーザーの方々にもぜひHoloLensの開発をぜひやってみていただきたいと思っています。

Holographic Academy の日本語訳されたサイトはこちら

Unite 2017 Tokyo でHoloLensを体験してもらいたい

今回のUnite 2017 Tokyoでは、HoloLensを中心に講演とブースの出展をされるということですが。

金尾 HoloLensはコンシューマー向けの製品ではなく、どちらかというとBtoBのビジネスのエリアで使っていただくシナリオをすごく想定しています。Unityを使っている方はゲームを作られている方が多いと思いますが、その知見やノウハウを活かして他のビジネスエリアで、Unityの強みを持ってアプリを作っていただけるようになってほしいなと思います。

BtoBコンテンツを作るのも、ゲーム開発で得た知見が役に立つと……。

高橋 むしろ僕たちはそこをすごく期待していて、まさにそのゲーム開発で得た知見をぜひHoloLensのアプリにわけてほしいんです。UI、UXを通じてどうインタラクティブなコンテンツを作るのかっていう技術は、ゲーム開発をされている方がゲーム業界の方が圧倒的に長けていると思うんです。なぜなら、あれだけ複雑なゲームシステムを、子供たちでもマニュアルなしでプレイできるように作られているのですから。
そして、その知識や技術は、そのままBtoBの世界でも活かせると思っています。ですから、そういったみなさんの持っている知見をフルに使って、HoloLensでの作業支援アプリケーションを作ったらどんなものが出てくるんだろうか、と非常に期待しています。その期待こそが、今回特に我々がUnite 2017 Tokyoに参加する大きな目的です。

金尾 それから、ゲーム開発をされている方にとっては「当たり前じゃないか」と思われるかもしれませんが、音ですね。ビジネスアプリではサウンドを使われている方ってあまりないんです。音がここから聞こえるとどういう感じとか……。HoloLens のアプリで、空間に音源を置くと、それがそのまま空間音源を再現してくれるんですが、バーチャルなものをいかにリアルに表現できるかっていうところの要素として、音を使いこなせるゲーム開発者のスキルは大きいと思います。

セッションは、どのような内容を予定されていますか?

高橋 Microsoftが言っているMixed Realityが、そもそもAR(Augmented Reality:拡張現実)とVR(Virtual Reality:仮想現実)と何が違うのかという点と、そのMixed Reality を実現するこのHoloLensがどういうデバイスで、何ができるのかをみなさんに紹介したいと思っています。
すでに世界中の企業と本社のチームが組んで、様々な事例が公開されているので、その辺りもみなさんにご紹介しながら、HoloLensの可能性について皆様に知っていただきたいと考えています。

対象とされている聴講者はどのような職種の方になりますか?

高橋 すべての方に来ていただきたいですね。デザイナーであれば、デザイナーの視点でMixed Realityの世界でデザインをするとしたら、どういうものが必要になってくるか、アセットが必要になるのかとか。プランナーの方であればHoloLensを使ってどんなことができるのか、もちろんデベロッパーの方には自分たちのやってきた開発のやり方とHoloLensとは何が違うのかなど、それぞれの立場でこのMixed Reality の世界とHoloLensのデバイスを知っていただきたいと思っています。

ブース出展も予定されていますが、実機の体験も可能なのでしょうか。

金尾 通常のスポンサーブースも設けた上で、特設のHoloLensの体験エリアを作ろうと思っています。ただ、ひとりあたり最低でも15分かかるものになるので、Uniteに来場される方皆さんにご参加いただける形にはできないのですが、そこは中の様子を映し出したりするなど、なるべく多くの方にHoloLensの世界を見られるようにしたいと思っています。

高橋 短い時間で多くの方に体験してもらう方法も検討したのですが、やはりいろいろな機能やアプリケーションを体験していただいて、正しくMixed RealityとHoloLensの世界を知っていただきたいと考えています。
ですので、体験していただける方にはしっかりとこの世界をお伝えできるような時間と内容を用意したいと思っています。

それでは、Unite 2017 Tokyoに参加を予定されている方へのメッセージをお願いします。

高橋 まず我々のセッションと会場の展示を見ていただいて、HoloLens、Mixed Realityがどういうものなのかを知っていただければと思います。
そして、エンジニアの方は、ぜひみなさんの持っている知識でいますぐにでもHoloLensのアプリは作れるんだっていうことも知っていただきたいですね。多分作り方を知っただけで「ああ、なんだVRのアプリとかゲームを作るのと全然変わらないんだ」と思っていただけると思います。そうして、Unityユーザーであるエンジニアの方々は、すでにHoloLensのキーデベロッパーである、ということを皆さん自身で体感して、認識していただきたいです。

金尾 実はビジネスの立ち上がりというか、非ゲームの企業内で「HoloLensを作ったこういうアプリを作りたい」、「こういうソリューションを作りたい」って具体的な案をお持ちの方が凄く増えています。ただ、それを作れる人たちが、まだなかなかいないのが現状です。ですので、皆様がゲーム開発で得たノウハウを、ぜひHoloLensの世界で広げていただきたいですね。

高橋 また既に開発されていて「自分たちなら、こういうものが作れるよ」という情報もあれば、ぜひ我々に教えて下さい。日本からの情報発信や企業との連携などもいろいろ考えています。ぜひUnite 2017 Tokyoでお声がけください。
最後に、今後のHoloLensイベントやアップデートについては、僕のブログかFacebookに情報をアップしていきますので、ぜひそちらもチェックしてみてください。
高橋 忍のブログ UX & モバイル、全ては心でエバンジェリズム♪
https://blogs.msdn.microsoft.com/shintak/