10年以上続くデジタルアイテム制作の実績とともに、ブロックチェーンで“感性のメタバース”に挑むココネのエンジニア集団

ココネ株式会社

左から、井上、高山、堀尾

高山 大介

ココネ株式会社

執行役員 CTO

2017年にココネにジョイン。フロントエンドエンジニアとして各サービスに携わる。現在はCTO/開発カルチャー促進室と多岐に渡ってココネのエンジニア組織の成長に貢献している。

井上 真悟

ココネ株式会社

CCP事業部 クライアントエンジニア

2003年コールドブレス株式会社設立。旧リヴリーアイランドなどの立ち上げを担当。2018年よりココネ業務委託エンジニアとして、複数のプロダクトのクライアント開発を担当。2022年7月よりココネ社員としてリヴリーアイランドの開発業務に専念。

堀尾 大地

ココネ株式会社

Meta事業部 クライアントエンジニア

モバイルゲーム開発にクライアントプログラマーとして約5年間従事。2019年にココネ株式会社に入社しポケコロツインの開発に参画。その後リードエンジニアを経てブロックチェーンプロダクトのリードクライアントエンジニアを務める。

これまでのご経歴と現在の職務内容を教えてください。

高山

CTOの高山です。私は福岡出身で、2010年にウェブフロントエンドチームリーダーとしてココネの子会社であるcocone v株式会社の前身となるNHST Japan株式会社で働いたのち、上京後は2012年からグリー株式会社でフロントエンドスペシャリストとして新規プロダクトの立ち上げ等に関わりました。2017年にココネに入社し、今年の7月に現職となりました。これまではエンジニアとして生きてきましたが、現在は技術的な課題解決よりも開発組織を作る方に注力しています。

堀尾

ゲーム系の専門学校を卒業後、主にモバイルゲーム開発の現場でサーバー、クライアント両方を経験しました。当時はUnity 3.5を使っていましたので、約10年前からのUnityユーザーになりますね。2019年に入社したココネでは『ポケコロツイン』の開発に参加したのち、現在はリードエンジニアとして新規サービスの立ち上げに関わっています。

井上

もともとは業務用アプリや販売管理系のシステム開発を行っていましたが、2003年に独立してコールドブレス株式会社を設立しました。その後、旧『リヴリーアイランド』(ウェブ版)などの立ち上げを担当し、2022年7月からはココネの社員として『リヴリーアイランド』の開発業務に専念するようになりました。

ココネの業務内容について、ご紹介をお願いします。

高山

私たちは『ポケコロ』や『リヴリーアイランド』を主力とするデジタルコンテンツサービスを行う会社です。着せ替えによるコーディネート、その空間でのコミュニケーションなど、いわゆるアバターサービスを10年以上開発している企業になります。ココネではキャラクターが存在し、コーディネートして遊ぶことができるサービスを「CCP」(Character/Coordinating/Play)」と定義しています。このCCP事業を軸としながら、現在はメタバースをはじめとする新規事業への挑戦も始めています。

井上

CCPについては、2Dベースか3DCGを活用するか、着せ替える対象などの違いはありますが、『ポケコロ』や『リヴリーアイランド』に共通するのは着せ替え要素とコミュニケーション要素があることです。お客様同士がコミュニケーションをする場所を、主にiOS/Android向けアプリケーションとして提供しています。

高山

デジタルアイテムの販売実績はグローバル市場で約130億個と、国内におけるアバターサービスにおいてはトップの実績と自負しています。ちなみに、開発フレームワークは『ポケコロ』以外はすべてUnityを使用しています。

CCP事業全体に通底するコンセプトと、社内の開発体制等について教えてください。

高山

CCPサービス全体として、“カワイイ”を提供するのが絶対的なコンセプトになります。素敵なファッションアイテムを身に付けて、お客様同士がコミュニケーションを取ること自体を楽しんでいただく。そこには一切戦う要素もないし、提供するデジタルアイテムにはパラメータもついていない。利便性や有用性、機能性を持ったアイテムを開発するのではなく、“カワイイ”という感性を最優先したデジタルアイテムを提供し、お客様自身が感性を表現できるような「癒やしのサービス」を行っています。

井上

「このアイテムを持っていればゲームを有利に進められる」というのが一般的なデジタルアイテムの購買動機だと思いますが、ココネのCCPには戦いの要素も装備の強弱もないので、こうしたアイテムをいかに魅力的に感じていただくか、いかに欲しいと思っていただくかを大切にしています。

「こういうゲーム性だから、こういうパラメータのアイテムが有用。そのアイテムにビジュアルを付けて売ろう」という発想ではないんです。ココネではまったく逆で、商品企画の段階からどういったビジュアルのアイテムを作りたいか提案して、それがカワイイか、癒やしがあるかで判断しています。デザイナーの表現を100%お客様にお届けするのがエンジニアの仕事です。

デザインを中心とした開発ですね。カワイイという感性の部分が価値になると、一般的な運用型ゲームにありがちなインフレなども起きにくい印象があります。

井上

能力やパラメータがないからこそインフレを抑止できています。これはつまり、以前にリリースしたアイテムがずっと価値を残している状況です。前に手に入れたアイテムを新しいアイテムと組み合わせて楽しんでいただくというデザイナー側の思想もあります。ちなみに、ココネの場合はデザイナーは正社員メインで、3Dチームだけでも2,30人は在籍しています。

堀尾

後ほど説明するNFTの話題にも繋がるのですが、ここで面白いのは「1年前に出たアイテムの方が流通量が少なくて、価値が高い」ということが起こり得ること。場合によっては、「10年前に出たアイテムは凄まじい価値になっている」という状況さえあり得ます。こういった肌感覚を理解しているのも、アバターサービスを長年やっていた私たちの強みかも知れません。

これだけの数のアバターを内製にこだわって作り続ける理由を教えてください。コンセプトだけを社内で固めて、後はアウトソーシングでも成立するのではないでしょうか。

高山

社内でデザイン部門を持つことのメリットは第一に「クオリティの統一」があります。私自身もこれまでの開発経験の中で外部のイラストレーターに依頼をする機会は多かったですが、スキルによって品質に差が出てしまうこともあります。ただ、この部分はディレクションでも解決できる部分ですね。もうひとつの強力なメリットは「コンセプトが共有できること」。カワイイという共通認識、そのベースとなる基準を全員が持っていることで、個性的ながら統一感のあるアイテムを生み出すことが可能になります。

堀尾

ただ絵を描くデザイナーというだけでなく、どういったものが売れるのか、どこが訴求ポイントなのか、売上を見越したデザインをデザイナー主体で行えるという点も特徴です。企画立案からリリースまで、デザイナーが売上まで考えながら「どの時期になにを何種類出せば良いのか」を判断し、手を動かしています。

高山

その意味では、事業部に属するデジタルアイテムデザイナーのチームは「商品企画チーム」という名称になっています。描くだけではなく、まさに商品を企画し、生み出すチームです。

 アバターサービスの最前線からWeb3の最前線へ

ここからは、ココネが目指すWeb3関連の新規サービスについてご説明ください。

堀尾

ここまでお話をしてきた通り、ココネはデジタルアイテムの販売実績が豊富かつ、感性に訴える商品企画を長年行ってきた関係から「10年前のアイテムが価値を失わず、むしろ上がっている」といったユニークな状況を実現しています。

これらは現状、『ポケコロ』や『リヴリーアイランド』など各サービスの閉じた世界の中だけの流通と価値形成です。これをブロックチェーン技術を用いてNFT化するなど、「外の世界に持っていく」ことで、なにか面白いことができるのではないかと考えています。

「外の世界」というのは、別の経済圏という意味合いでしょうか。

堀尾

はい。これまで“感性”や“癒やし”と言ってきた中で突然お金の話かと思われるかも知れませんが、現在はシンガポールにある子会社で開発するメタバース領域に特化したブロックチェーンネットワーク『MOOI』を活用したアプリやサービスを準備している段階です。簡単に言うと、特定のアプリ内で手に入れたアイテムを、MOOIをベースにしたマーケットで売買ができるような仕組みです。お金を使ってアイテムを買い、アイテムを売ってお金を得る、こうした経済圏を作ることがひとつの目標になっています。

私たちとしては「経済圏を持たないメタバースサービスは長続きしないのではないか」と考えています。メタバースという概念自体の認知度が上がる中で新しいものを作るとなった場合、まず必要なのは経済圏です。ココネが目指す「感性のメタバース」への準備段階として、これまで培ったデジタルアイテム制作の知見を活かしつつ、MOOIを活用したサービス開発を行っている段階です。

高山

メタバースにはいろいろな定義があると思いますが、ココネでは「アイデンティティと経済」にフォーカスしています。従来のネット上のアイデンティティは、SNSを利用する際のアカウントなどに紐づいたものでした。しかし、メタバース上にはアバターが存在し、このアバターそのものがアイデンティティになります。弊社は10年以上のアバターサービスの開発・運営・販売実績がありますので、この領域は得意分野です。

もう片方の経済について、メタバースにおける経済圏の形成はブロックチェーン技術を用いたデジタル資産のNFT化です。これまで、デジタル資産は特定アプリ内だけでしか使えず、価値もそのアプリ内でしか通用しませんでした。NFT化により、デジタル資産の所有権をお客様に帰属させることができるという特徴があります。アプリ内にとどまらず、世界中の誰でも取引ができる部分に大きな可能性を感じています。デジタル資産の開発能力やノウハウをNFTで拡張する形で、サービスとしての可能性を広げていきたいと考えています。

具体的なリリーススケジュールも決まっているのでしょうか。

高山

子会社のcocone connect株式会社では年内に『ClawKiss』のリリースを予定しています。ヴァンパイアのコミュニティで生きていくという内容で、着飾って稼ぐ(※)という“Dress to Earn”というコンセプトもあります。
※MOOIネットワークをベースにしたサービス内トークンを使用(詳細は変更になる可能性がある)

また、韓国ソウルにあるcocone M株式会社では、リヴリーアイランドのキャラクターを使ってNFT化した『Meta Livly(メタリヴリー)』をリリースしています。現在もさまざまなプロダクトを準備している段階ですので、ぜひ注目していただきたいです。ただし、国内はさまざまな課題もあるため、開発中のサービスはアジア圏などでの展開を検討しております。

堀尾

MOOIに関しても実際に『Meta Livly』がサービスインしたことで運用段階に至りました。開発中のものも含めて、今後の状況によっては日本国内でのサービス展開も視野に入れています。

隆盛するメタバース分野におけるココネの優位性

多くの企業がメタバース分野に参入する中で、他のプラットフォームと比較した際の優位性について教えてください。

高山

私たちが理想とするメタバースに特化したブロックチェーン技術MOOIを独自に開発している部分です。一般的にはイーサリアム(Ethereum)を利用する場合が多いと思いますが、トランザクションが遅い場面がある、手数料が割高であるなどの課題もあります。その点、MOOIは秒間4,000回のトランザクションを処理することが可能です。この意味合いにおいて、ブロックチェーン技術自体の優位性があると思っています。

堀尾

これにプラスして、ココネとして10年以上デジタル資産を作り続けてきた実績があります。今から参入してくる企業よりもコンテンツ部分に関する実績が多いので、持っている資産という意味でも一歩リードしていると考えています。

「理想のメタバース」というものは、一体どういった存在なのでしょうか。「感性のメタバース」という言葉もありましたが、皆さん個人が考える理想形について教えてください。

高山

一般的にイメージされるメタバースは「オープンワールドで3Dアバターが動いている」というものだと思います。ココネでは、高額なVR機器ではなく“手のひらから始めるメタバース”として、スマートフォン展開できるメタバースを目標としています。

堀尾

メタバースって要するにサブ垢(サブアカウント)でしょ?」と考える人が周りにも一定数いるんです。例えばTwitterなどのSNSでは本垢(本アカウント)とサブ垢を使い分ける人も多いですよね。

メタバースにおいては、リアルに生きている自分が本垢で、アプリにあるアカウントがサブ垢という考えが最初は一般的になると思います。本垢で稼いだお金をサブ垢で使って遊ぶ、体験をしたり癒やしを得るのはサブの自分という認識でしょうか。でも、メタバースの世界で経済圏ができて、そこでお金を稼ぐようになれば、いつかメタバース側も本垢になるのではないかと考えています。 「その世界を遊び尽くした」ときも、そこで得た資産を持って別の世界に遊びに行ける。アイテムをそのまま持っていくのは規格面でもハードルは高いですが、デジタル資産が担保された上で世界を転々とできれば、非常に面白い世界が作れると考えています。経済圏の話をしていますが、私個人の解釈としてもメタバースにとって「お金の要素は大切」だと思います。

井上

面白いですね。おそらく誰にも正解は分からないし、インタビューにおいても「分からない」が解答でも充分だと思うんですよ。メタバースという言葉はもともとの小説で使われていた概念に完全に沿ったものではなく、今の共通認識は「仮想の自分が仮想の空間にいる」という程度。あるべき姿、正解がまだ分からないからこそ、ココネとしても“先に作っておく”という感じなのだと思います。

堀尾

みんなが「俺の考えた最強のメタバース」を作ろうとしている状況だと思いますね。

高山

振り返ると、インターネットが始まった頃と似ています。みんなが分からず、それでもみんなで研究開発をしながら模索した。今回もそういった時代の流れなのだと思います。

一緒に“未来”を作るメンバーを募集中!

SYNC2022に参加される方はエンターテインメント系のエンジニアも多いかと思います。参加者へ向けたメッセージがあれば教えてください。

堀尾

CCPのサービス群は主にUnityで開発されています。ブロックチェーンを用いた新規サービスの開発も、CCPで実績のあるサービスを元にしているため、今後も必然的にUnity開発が続くはずです。

堀尾

Unityによって、誰でもコンテンツ開発に挑戦できる場が生まれたことは非常に価値があると考えています。従来エンジニアが抱えていた「PCに向かってコードを書く仕事」というイメージから、もう少し華やかな、動きのある世界に変わってきた実感があります。このことと直接的な関係があるかは分かりませんが、最近は女性エンジニアも増えてきました。アバターサービスが“カワイイ”や“癒やし”をコンセプトにしている以上、男女を問わず、未来を一緒に作りたい方と一緒にお仕事が出来たらと思っています。

井上

会社全体では女性社員が6割ですが、エンジニアでいうと9割が男性ですね。性別で仕事内容を分けることはありませんが、女性の方であればデザイナーとのやり取りもスムーズになるかも知れません。前提として、ココネはサービスありきの会社ですから、弊社のサービスやアバターに興味がある方と一緒に働けると嬉しいです。Unityエンジニアの方なら、クライアントやサーバーを問わず是非ご検討いただけると幸いです。

高山

Unityを使うエンジニアはゲーム開発に従事する方が中心だと思います。ココネでは一般的なゲーム開発ではなく、お客様同士がカワイイと思ってコミュニケーションを取ることができる、癒しの空間を目指して開発を続けています。これを10年以上続けている市場優位性もありますし、先ほどお話しした通りWEB3にも挑戦できる技術力もある会社です。時代が大きく動こうとしている今、この分野に挑戦するかどうかの判断は、後に大きな分かれ目になるだろうと考えています。私たちは挑戦することを選びました。新しい分野や癒やしのサービス開発に興味がある方は非常に良い環境だと思います。また、「最近、ゲーム開発に疲れたかもしれない」というエンジニアにも是非来ていただければ嬉しいです(笑)。